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精神世界

特別な信教は持っていない。

別に宗教が嫌いとかではない。

あまりにしつこく入信をアプローチしてくるところは別だが、人それぞれに信じるものがあるだろうし、それが心の支えになるならば悪くはない。

俺が宗教に興味を持たないのは、自立した精神世界を持ち、死生観を持っているから。

そのベースには、もしかすると親、親の親、またその親と受け継がれた宗教があり、その世界観が遺伝してのものかもしれない。

だが、ありきたりの日本人のように、神仏両方につかず、はなれずな感じである。

初詣は神社に出かけるし。

法要ともなれば、お坊さんを自宅に招く。

それが良かったのだ。

自分自身の考えが定まる前に、固定概念を移植されることが無かったから。

俺は、とても幸せな環境で育ったと感謝している。

親が熱烈に信じる精神世界を、そのまま『俺』の精神に移植される環境ではなかった事に感謝をしている。

仏教世界は非常に奥が深くて、それを探求するのは楽しいかもしれない。

それでも俺は、『輪廻転生』に否定的だから、そこへの探究心は湧かなかった。

友人、知人と色んなことを話していると、TV番組の影響も手伝うのだろうが、前世がどうだった。自分の持つカルマがどうで・・・ 

といった話題になることも少なくはない。

俺は血液型が性格に直結するとも思わない人なので、日常茶飯事に繰り返される血液型の話題よりは遥かに深い話題なのだが、何せ、端から『輪廻転生』はないと思い込んでいる人だから、どうもしっくりこない。

きっと、自分自身の死生観、精神世界を持っているからだ。

『俺』という個性、肉体はこの世に一人きりしか存在しない。

その中に宿る精神も、どこかからか飛んできたものではなく、子供の頃から両親や、周囲の大人たちによって育まれ、この身に定着したものだと信じている。

ひとたび死を迎えれば、『俺』という個性も、体も、その中に宿る精神も消え失せる。

『俺』の持つ経験や感情といった、脳内でコントロールされているものも全て消滅する。

『俺』という人間は『俺』であって、前世がどうだったから、今世がこのようである。

そうした安直な話で語られるほど簡単な存在ではないと信じている。

複雑な精神構造を持ち、強欲、色欲、怠惰、自尊心などに翻弄され、時に自己嫌悪に陥り、時には劣等感にさいなまれ、反対に優越感に浸ったりと、無様な生き方をしてきた。

その無様な生き方、人を傷つけ、自分が傷つく中で、自我を確立し、他者を理解して受け容れるだけの精神構造、精神世界を持つに至った。

未だ、達観しているような境地には立っていない。

ただ、『受け容れる』感覚だけは、根幹に根付いたと感じている。

『輪廻転生』という言葉や、考え方があるから、人は苦しみから解放される時もある。

心の支えになるならば、そうした思考、信心も悪くはない。

これも、他者の感えや宗教観を受け容れているから述べられること。

俺にとって、『輪廻転生』を肯定することは、どうも自分の逃げ道をつくるようで嫌なのだ。

昔、『来世でね』 と言って別れた女性もいたが、その当時から、この感覚は変わっていない。

その場は、彼女の気持ちを尊重しただけで、単なる別れ言葉として受け取ったが、別れてしまえば二度と逢うことはないのだ。

『来世』などは存在せず、この同じ時代に生き、時間を共有できたからこそ巡り会った。

今生しか存在しないからこそ、その愛は深まった。

それが分かっているからこそ、常に真剣勝負なのである。

『来世でね』という言葉に逃げたりしないから、俺の別れは真剣勝負の果ての敗者となる。

血みどろで横たわる骸。

大概の人は、血みどろで横たわる自分の骸を直視しようとはしない。

逃避の中で見出す言葉『輪廻転生』は、その大概の人を救う言葉や考えである。

同じ仏教観の中でも『愛別離苦』は、自分にフィットする。

『すっ』と心に入ってくる。

この言葉はとても好き。

人を愛し、愛されることは素晴らしいことだ。

貴く重たい経験だからこそ、その別れには修羅の苦しみが伴う。

軽い感覚で愛を語る人もいるが、そんな生易しい感覚では、本当の愛を語れないのだ。

親と子、男と女、その他の形でも何でも良いのだが、深い愛があればこそ、もし、その対象の人との惜別の時が訪れたならば、自分の体をもぎ取られるような感覚に襲われる筈。

『輪廻転生』という言葉や宗教観に逃げず、その身を切られる血みどろの感覚にさいなまれ、痛みと苦しみにのたうち回った事で、俺は、自分自身が人を真から愛せる人間になれたのだと信じている。

俺自身のその精神世界こそが、俺だけの信教。

俺みたいな人は勧誘しても無駄だね(笑)。

仲の良い有人からの請願であれば、お付き合いで新聞くらいは短期間契約してあげても良いけどね。

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